『黒き魔王』――兄と、弟と。道を違えて。

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概要

 作者は、4を「1◆F9FDd5.NK2」さん。1から3を「Yoshi」。
 里見兄弟はファルネースにやってきたが、弟の衛は身に余る力を手に入れ、盗賊をその手にかけてしまう。また、兄に手をあげ――。
 二人の兄弟は袂を分かち、それぞれ別々の道を歩み始めることとなる。

登場人物

■里見 武柾(さとみ たけまさ)
 ……ヒュマン。日本の高校生だった。剣術に長けている。
■里見 衛(さとみ まもる)
 ……ヒュマン。武柾の双子の弟。兄に剣術で勝るが、兄に対して劣等感がある。
■宮原 槍真(みやはら そうま)
 ……ヒュマン。日本人。秀でた特技はないが、クオラという組織に身を置いている。
■クシュナ
 ……クオラ本部長。クオラという組織のトップ。
■キース
 ……クオラのナンティス支部長。キースを崇拝している。

黒き魔王


1.

「これが強さか」
 弟は言った。
 その足元には累々と屍が積み重なっていた。血の臭いが鼻をつく。
「なあ、兄貴」
 俺は答えなかった。いや、正確には答えられなかった。
 目を血走らせた弟に首を絞めあげられていたから。
「ここがどこかわからないが、身体が有り得ないほどよく動く。ここなら、俺は神にすらなれるぞ」
 ばかを言うな。搾り出そうとした声が、弟の手によって塞き止められる。
「兄貴。俺はやりたいようにやる。この手で、この世界で、好きなように生きてやる。俺は何物にも束縛されない。親父にも糞忌まわしいじじいにもな」
 双子に生まれたが故に瓜二つの顔を歪めて、弟は嘲笑した。ひどく不愉快だった。首を絞められていることに対してではない。祖父の教えを、父の教えを理解できていない弟に、ひどく腹が立った。
 兄貴、と弟は俺の目を見つめた。
「死ね」
 そして、俺は喉を押し潰された。
 意識が遠のいていくのを理解できたことが、何とも不思議だった。

2.

 小鳥のさえずりが響く。穏やかな陽光が窓から差している。
 どうやら寝坊してしまったらしい。日曜日と言えど、祖父の剣術の稽古をさぼることは許されない。
「だめですよ、起きちゃ」
 慌てて飛び起きようとした俺を、なだめたのは一人の少年だった。
「ここは……」
 家じゃないのか、と言おうとして、辺りを見回してみる。
 日本の家屋に見られない独特な構造だった。壁は丸太をそのまま積み上げていて、窓にはガラスがはめ込まれていない。まるでログハウスのようだった。
「ここは、僕の家です」
 少年はそう言うと微笑んだ。
「着ていた服、たぶん捨てたくないんじゃないかと思うから、洗っておきました。学生服ですか、懐かしいな」  一人でぶつぶつ呟いていた少年は俺の顔を見て、あ、と声を漏らした。 「一人でしゃべってばかりで、ごめんなさい。あなたは死にかけてたんですよ」
「俺が?」
 少年は説明した。
 街道を歩いていると、馬車が横転しているのを見つけた。近づいてみると、何人もの人が倒れていた。
 一目見て全員が死んでいると思ったそうだ。しかし、俺は息があった。だから。
「だから、お医者さんを呼んだんです」
「そうか。一応、礼を言っておく。ああ……」
「宮原です。宮原槍真」
「ありがとう、槍真。俺は里見武柾(さとみたけまさ)だ」
 名前を知ると、槍真は嬉しそうに微笑んだ。
「ところで、ここはいったい」
 記憶が正しければ、俺は弟と共に祖父に呼び出されて、剣道場へと向かっていた。道場への階段を上っている途中、弟と口論になり、取っ組み合いになっ
て階段を転げ落ちた。そのときにあたりが眩い光に包まれたのだ。
 そして気づけば、見たことの無い自然の溢れる街道へと辿り着いていた。遠くには馬車が見えた。
 そして、そうだ。見慣れぬ景色に呆然となって突っ立っている俺たちを見つけて、馬車がその進行を停めたのだ。馬車の業者が罵声を浴びせ、弟がそれに怒り――
「里見さん、あなたはヒュマンですね。名前と、その学ランでわかります」
「ヒュマン?」
 聞きなれない単語に、俺は思考を中断した。
「地球人のことですよ。ぼく里見さんの方のような」
 まるで、俺と槍真とは違った人種がいるような言い方だった。
 いやしかし、言われてみれば思い当たることはある。馬車の業者に弟が木刀を振りかざしたときだった。
 業者はその一撃でおそらく撲殺されたが、荷台に乗っていた男たちが飛び出してきた。彼らは不思議な術を使った。よくゲームで見る、いわゆる魔法と呼ばれるものに似ていたような気がする。
「ここはファンタジー世界かよ。馬鹿らしい」
「そう思っていた時期がぼくにもありました」槍真は諭すように言った。「でも、それが真実なんです。もう少し、外を歩けばわかります」
 でもしばらくは安静にしておいてくださいね、と槍真は微笑んだ。
 安静にするも何も、喉に違和感が残るのみで、身体に別段おかしな点は見受けられない。
「いや、いい。大丈夫だ。俺は行く」
「だめですよ。お医者さんが明日も来るんだから! せめて、明日まではいてください。外が気になるなら、今日一日かけてみっちり外のことを説明しますから」
 あまりにも慌てる槍真を見て、俺は折れた。命の恩人には変わりないし、弟の行方を追おうにも闇雲に外へ行ったところで何もわかるまい。
 俺は槍真と夜遅くまで語り明かした。

3.

 わかったことがいくつかある。
 ひとつは、この世界について。もうひとつは、槍真について。
 この世界はファルネースと言い、俺の慣れ親しんだ地球(ここではアースと呼ばれるらしい)とは違う世界であるということ。この世界の構造まではよくわからないが、とりあえずファンタジーの世界だと思えばいいと槍真は説明してくれた。
 そして、マナというものについても聞いた。すべてのものに宿っているらしい。元素や粒子のようなものかと思ったが、そうでもないらしい。よくはわからないが、これによって俺たち地球人(これもここでは呼び方が違う。ヒュマンと呼ぶらしい)は身体能力が著しく向上する。弟の化け物じみた力の意味がわかった。そして裏を返せば、俺にもあれと同等の力がある。弟と俺は双子であり、同じ修行をしてきた。身体にさほどの差は見られないはずだった。
 また、ファルネースの住人(ファルンと呼ぶらしい)は、マナを使って魔法のようなものを扱える。これは実際に目にしたので疑う余地はない。また、俺を治療に来た医者とやらはアガレスという街からやって来たようで、俺の治療を行なうときにマナを使った治療魔法を唱えた。マナとは何とも便利なものである。
「だけど、俺に魔法は使えないのか」
 それが救いだった。
 弟は地球にいたときから、少しおかしかった。双子の兄である俺よりも、剣道の成績がよく、勉強の成績も良かったのに、弟であるというだけで奴は異常なまでに劣等感を持っていた。
 そして、このファルネースにやってきて、弟は人を……殺した。
「使おうと思えば使えますよ」
 ドアを開けて部屋に入ってきたのは槍真だった。
「マナストーンと呼ばれるマナの封じ込められた石を利用すればいいんです。ただ、とても高価ですけどね」
 槍真は、俺と同じヒュマンで、さらに俺と同じ日本人だった。県こそ違えど、同郷であることに違いはない。最初は言葉の壁を感じなくて済むことにほっとしたものだが、別にそんなことは気にする必要はなかったらしい。
 この世界では、アメリカ人だろうと日本人だろうと、ドイツ人だろうと中国人だろうと、ヒュマンだろうとファルンだろうと、マナによって言葉が通じ合うらしいのだ。槍真はその原理を説明していたが、俺にはよくわからなかった。まあ、マナを守護する神様のご加護ってことにしておけばいいだろう。
「槍真は……一年前にここに来たんだよな」
「そうですよ。このミーシャ村に来ました」
 ここはファルネースのミディリア大陸にあるミーシャ村という簡素な宿場町であるらしい。アガレスと呼ばれる大きな街とケルトと呼ばれる大きな街を結ぶ街道のちょうど真ん中に位置しているということだった。
「さっきの医者、高かったんだろう? 地図で見せてもらったが、アガレスからここはかなり離れていた」
「ケルトに向かう道中だったらしいですから、さほど」
「だが」
「いいんです。お金のことは。ぼく、公務員みたいなものですし」
 俺よりも若い槍真が仕事に就いていることに驚いたが、考えてみれば当たり前だ。
 親もなく身よりもなく、友達もいない。その世界でひとり生きていくには先立つものが必要だ。俺は槍真と出会えて、この世界の全体像を知ることができた。そのことはすごく幸運だったのかもしれない。
「そうだ、里見さん。木刀、背負ってましたよね。剣道か何かやられるんですか?」
「ああ。一応な」
「この世界だと初段レベルでも、相当な使い手に化けます。ぼくのいる組織に入ってみませんか。もちろん給料も出ますし」
「しかし、俺は呑気に一箇所に落ち着いている場合じゃない……」
「弟さんのことですか」
 槍真は表情を曇らせて、言った。
「そうだ。弟は人殺しになってしまった。しかも、事情があったとか、そんなのじゃない。無抵抗な者をちょっとしたことで、簡単に殺してしまった」
 業者は弟に文句を言っただけである。それを弟は撲殺した。殺したことに罪悪感はないようだった。あまつさえ、笑ってみせた。
「弟は言った。この世界で、神になれると」
 ばからしい、と一笑することは簡単だ。
 だが俺は弟の剣術の腕前をよく知っている。俺と弟は同じほどの腕前だった。もっとも、ファルネースに来た当初は油断していたところを殺されかけたのだから、自信を持っては言えないが。
 しかし、これだけは自信を持って言える。俺も弟も真剣を持てば、相手がよほどの達人でない限り、確実に殺せる。これは地球においての仮定だが、この世界の住人だろうと同じだ。ファルンは魔法を使うが、その代わりに身体能力は皆無に等しい。魔法を使われる前に切り捨てることは可能だ。そして、不幸なことにこの世界には真剣がごろごろしていた。
「俺は弟と同じだから、わかるんだ。剣を手にすれば、本気になれば、いとも容易く村の一つくらい壊滅させられると。そして、弟はいま……狂っている」
 槍真は俺の話を静かに聞いていた。
「だから、俺は弟を探し回らないといけない。何とかして、止めないといけない。だから……」
「だったら、なおさら、ぼくの組織に来てください」槍真は俺の言葉を遮った。「ぼくのいる組織の名前はクオラ。ここケルトラウデ帝国の公式機関です。国の慈善事業の一端を担っていて、その任務はミディリア大陸がメインですが、場合によっては全世界にまで及びます」
 槍真は説明した。
 クオラ。ケルトラウデ帝国の福祉機関であり、ケルトの街に本部を置く。
 主な活動内容は、ヒュマンやカオス、ハーフ(カオスやハーフは、ヒュマンとファルンの子供であるらしい)を言われない差別から保護すること。また、危険思想を持っている場合、更生施設に入れて専門の教育を受けさせてファルネースに慣れさせること。
 やはり、外の世界から来たものや、その子孫を差別する人は少なからずいるのだそうで、ここケルトラウデ帝国は特にそれが顕著だった。もともと、純血主義の思想を掲げていた部族が統一した国家だからクシュナ、当初は国をあげての差別も行なっていた。
「しかし、今は違います。聖なる国と呼ばれたアガレスと合併してからは、差別意識の排除が進められました。その一環が、クオラです」
「クオラ」俺は考えた。「さまざまな場所へ赴き、ヒュマンやカオス、ハーフを保護する……」
「そうです。ヒュマンの場合、体力がありますから、主に外の任務につくことになります」
 ヒュマンを追う。組織に入れば、ヒュマンである弟を探すことも可能な気がした。
 そうとわかれば、心は決まった。
「槍真、クオラ本部へ行こう」
 俺はそう言うと、ベッドの脇にかけられていた学ランを羽織った。
 これは捨てないつもりだった。弟と同じ服装だから。この世界では目立つものだから。遠くからでもこの格好を見れば、弟は俺だとわかるだろう。
「さあ、出かけよう」
 俺の、里見武柾の目的はひとつ。弟を探すことだった。

4.

「ここだ」
 キースと共に向かった先は質素ながらも頑強に作られた館だった。明らかに庶民の住む家ではないだろう。キースは門番に話を通すと奥へと進んでいく。
 里見もキースの五歩ほど後を歩く。いつ襲われてもいいように集中は途切れさせずにだ。
「全く、心配性なことだ」
 キースは後ろを振り向かずこちらに話しかける。里見は何も答えずにキースに続いて、二階へと歩みを進めた。
 目の前にはやはり質素で頑強そうに作られた扉があった。キースがノックをすると部屋の中から男の声がする。
 失礼します。そう言うと丁寧な動作でキースは部屋の奥へと消えていった。
 里見は黙って中へと入っていく。
 そこは異様な空間だった。部屋は普通なのだが空気が違うとでも言えばいいのだろうか。少なくとも里見には今まで体験したことのないだろう空間。
 ――里見の表情が一気に険しくなった。
「緊張しなくともよいですよ」
 奥に座る男にまた英語で話しかけられる。そこで里見は男の姿を確認することが出来た。一見とても穏やかな、しかしえも言えぬ威圧感があった。
 里見は思わず口の端を歪めながら部屋の主に向かって話しかける。
「お前が俺を呼んだのか?」
「はい。この街にヒュマンが来たと聞いたので」
「ヒュマン?」
 里見が尋ねるが、男はそれを遮った。
「そうそう。自己紹介がまだでしたね。私の名前はクシュナ。言っても分からないとは思いますがケルトの一族です」
「俺は、里見衛(さとみまもる)だ」
 ぶっきらぼうにクシュナに言葉を返す。
「そうですか、ではサトミ。キースにも聞いたとは思いますがあなたに頼みたいことがあります」
 男は小細工無しに本題に入る。男は話を続けた。
「頼みとは、世界に散らばるカオスそしてヒュマンと呼ばれる存在を打ち倒す事。それだけです」
「またヒュマンか」
「はい。簡単に説明するとヒュマンとはあなた方の住む世界からやってきた民。カオスとは"覚醒者"、強力な能力を持った者の事です」
「何故そいつらを倒す?」
 里見はまず一番に気になる部分について尋ねる。
「それは、この世界が正しい方向に向かっていくには邪魔な存在だからです」
 クシュナはすぐに答えを返す。
「何故邪魔になる」
「彼らがいてはこの世界――ファルネースの民が一つにはならないのです」
「順を追って説明しましょう」
 クシュナは里見に説明を始めた。
 この世界が現在戦乱の時代に移ろうとしている事、戦乱を止め、民を一つにするには強力な混沌たる存在が必要な事、だがカオスらがいてはその存在の召還を止められる可能性がある事、この世界の詳細や地理、情勢、マナについて、最も混沌たる存在――魔王について。
 里見はただ黙ってクシュナの話を聞いていた。
「どうでしょう? 私の見たところ、貴方は退屈を嫌っている。この話に乗ればその心配は全く無くなります」
 この話に乗れば里見が下手に動き回るよりも自分の欲求を満たせることは明らかだった。
「確かにな。しかし、なぜヒュマンを殺すために、ヒュマンを使う?」
「それは、貴方だからです」
 クシュナの返答は簡潔だった。
「意味がわからん」
「貴方が、この街に来る前にしてきたことを、私は知っていますよ。村ひとつ、皆殺しだったらしいじゃないですか」
「……よく知っている」
「ただ、あなたはそれでいいのですか?」
「ふん、そんなこと……」
「違います。弱いものをただ殺すだけで面白いのかと聞いているのです。倒すべき相手は強いほうが良いでしょう? あなたほどの腕前なら」
「……」
 里見は思案した。
「私にはわかります。だから、お兄様に止めを刺さなかったのでしょう?」
 里見の顔色が変わった。
「黙れ、殺すぞ」
「私とは隠し事は無しにしましょう」
 感情を高ぶらせる里見に、クシュナは微笑んだ。
「私はあなたに協力します。面白い舞台を仕立てます」
「おもしろいだと?」
「実は先日、あなたが村を潰している間に、お兄さんが我々の組織クオラに入りました」
「兄貴が?」
「ええ、ただし、今あなたに説明したような裏のクオラではありません。カオスとは正反対の性質を持つ、弱者であるハーフの保護。それが彼らの主な任務です。彼らは我々の本当の目的を知らず、福祉の一環だと思って任務を続けています」
「……なるほどな」
「ゆくゆくは、あなたはお兄さんと顔を合わせることとなりましょう。そのとき、きっとお兄さんも強くなっているはず。これ以上ない、ライバルではないですか。暇も潰せましょう」
 ここでクシュナは言葉を切って、キースに何事か命じた。
 キースは部屋の端に置かれていた木箱を里見の前に差し出した。
「これを差し上げましょう。いわくつきの魔剣リーズです。愛する者を殺してしまうがために、使う者のいない剣です。あなたなら、大丈夫でしょう?」
 里見は木箱から魔剣を取り出すと、掲げてみた。
「真剣か、おもしろい」
 里見はまた口の端を歪ませ、クシュナに向けて言葉を続ける。
「お前の提案も面白い。……だが、今ここでお前達を倒すのも面白いとは思わないか?」
 里見の言葉にキースの顔がピクリと動く。その瞬間にはクシュナに向けて魔剣が振りかざされていた。
 猛スピードで魔剣はクシュナに襲い掛かる。その斬撃に向かって手を差し伸べる。クシュナがした事といえばそれだけだったはずだ。
 しかし次の瞬間には魔剣は太刀筋を止めた。里見は一歩引くと、魔剣を構え直した。
「貴様ッ!」
 キースが初めて感情を露わにこちらへ襲い掛かるがそれをすぐにクシュナが制する。
 その一連のやりとりを少し残念そうに眺めていた里見はおもむろに答えた。
「この話、受けてやろう」
 里見は用は終わったとばかりに背を向けて扉に手をかける。
「だが、常に身の回りには気を付けておけよ」
 背を向けたままそう言うと、扉を開け放ち里見は部屋を出た。

「よろしいのですか?」
 キースはまた平静に戻ったのか表情を変えないまま主へ話しかける。
「また、あの男は必ず我々に牙を剥きます」
「いいんですよ。兄の里見武柾(さとみたけまさ)に、弟の里見衛(さとみまもる)……光と闇みたいじゃないですか。それがそれぞれ、クオラの表と裏にいる……これほど面白いことはありません」
 それに、とクシュナは言った。
「魔剣リーズを扱える人間がいるかも知りたいですしね」
 クシュナは底の見えない瞳を笑みに変えて言った。
「黒き魔剣を持ち、黒き異国の衣装を身にまとう。魔王の力を得るにはぴったりですね」
 黒き魔王、とクシュナは呼んだ。
 後に里見衛は黒き魔王と呼ばれ、人々に恐れられることとなる――。


 『黒き魔王』――完。


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