【九作品目】
ＩＴという言葉が定着して久しい。情報技術の発展は目覚しいほどの速さで進んでいる。
それは時として人々に恩恵をもたらすが、時に、害を及ぼすこともある。とりわけ若い世代には悪影響を及ぼし、素行の悪い者を生み出す要因となっている、という説すらあるほどである。
そんな例に漏れない一人の少年が夜の街を走っていた。
彼の父親もまた、少年以上に、どうしようもないフダつきの不良だった。同級生だった引きこもりの男を呼び出し、恐喝しようとして警察に捕まったこともあった。
少年は、そんな父親の悪い部分と、また父親同様に素行の悪い母親からも同じ部分を引き継ぎ、すくすくと育った。
その結果、少年はトラブルに巻き込まれているのであった。
少年はいつの日か変わることができるのだろうか。変われなかった父親や母親とは違って、変わることができるのだろうか。
それは、誰にもわからなかった。
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