【三作品目】

 若い男女が楽しそうに、電車の中で話している。まだ高校生くらいだろうか。
 男の子は駅のホームに落ちていたゴミを拾った。そのことを女の子は褒め、男の子は恥ずかしそうにはにかむ。まだ初々しさの残る二人を、周りは微笑ましく眺めていた。
 しかし、会話の内容がちょっとおかしい。二人の話すことは微妙にあるいは絶妙に咬み合っていなかった。男の子が投げる直球をキャッチし、女の子はそれを明らかな変化球でもって返す。キャッチボールはアンバランスかつアンフェアな状態で、それでも男の子の努力のお陰で続いていた。

 そう――彼女は、天然だった。


 next story is... 『ノンストップマイハニー』

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