世界観(年代など)

基本設定

 私たちの住む地球とは似て異なる平行世界。地形などは現実の地球とほぼ全て等しい。
 私たちの世界と平行しているため、一切交わることはないが、時間の流れや、文化、歴史などほぼ同じである。異なるのは一点、魔法と守護者の存在。
 第二次世界大戦までは同じ歴史を辿ってきたと思われる。以後、何らかの原因により魔法を扱える人々が現れ始め――世界は魔法を扱える能力者と、魔法を扱うことのできない者に分かれた。
 魔法が格差を生み出さないように、日本国政府に設置されているのが、「魔法省」である。

 そして、この魔法省が推奨し全国に設置する施設が「魔法技術専門学校」と呼ばれるものである。義務教育を終えた者を対象に、魔法の扱い方を教え、正しい魔法のあり方についての知識を学ばせることで、社会に出た際に、その魔法を貢献させて日本国の礎を固めることを目的としている。現在は公立のみならず私立のものも日本に多数存在している。
 魔法のレベルは人により大なり小なりなので、魔法が扱えるからと言って、軒並みエリートというわけではないことに注意が必要ではあるが、魔法の教育というのは危険が伴うものである。そのため、これらの学校は、海に浮かぶ島に置かれることが多い。

M-Japan構想

 魔法省が2005年に掲げたのが「M-Japan構想」である。
 平たく言えば、今から三十年以内に魔法のあり方を確立させるという考え。今はまだ魔法を扱える人間は一握りである。優れた魔法人となれば、砂粒ほど。優れた魔法人を多く育成することで、教育できる者を増やし、徐々に使用価値のある魔法を扱える人間を増やしていこうという計画である。今はまだ埋もれていても、潜在的に魔法を扱える人間も多い。そういったものを掘り起こし、全国民が直接的または間接的に魔法のメリットを享受できる社会を実現し、それによって産業分野での国際競争力の強化や経済構造の改革、国民生活の利便化などを成功させることを目的に、国家が中心となって魔法技術の普及に取り組んでいこうとする構想である。
 とりわけ、なぜか魔法は日本の文化である。上手く活用することで世界最先端の国家となることを目標としており、そのためにも魔法インフラの整備や国家制度の確立などを謳っている。
 そして、「魔法を使える人間は、それをより優れたものに昇華させる義務がある」とも謳っている。「義務」とは言うものの、努力義務であり個人の裁量に委ねられているのが現実であるが、社会は、大人は、これからどんどん成長する可能性のある子どもたちに魔法の将来を託しているのであった。

魔法

基本設定

 第二次世界大戦後、使える者が現れ始めた。その発端や発展については、戦後の日本の空白の歴史の中に埋もれ、詳細は不明となっている。
 現在の形としては、子供は個人差があるが、魔法の才のある子供は十五歳までのうちに、未知の存在(古くは守護霊と呼ばれるもの)と「契約」を何らかのきっかけで結ぶ。それから、「契約者」となった者は「守護者」から魔法の扱いを覚えていき、やがて、自身の者として完全にその知識を吸収した後に、守護者は消える。こうして、一人前の魔法行使者(※継承者)となる。
 日本国政府は専門の教育機関を作り、そこの特殊なカリキュラムで、継承者をスムーズに生み出すことに成功。現代の日本では、だいたい十八歳で守護者から全てを継承し終わる課程となっている。(ただし、個人差はあるので、卒業時に修得できていないものもいる。)

魔法と契約

■契約……
 守護者の力を借り、契約者(マスター)がそれを扱う。本との契約は偶発的であり、そのメカニズムは詳しく解明されていない。
 契約者は一度守護者と契約を結ぶと、徐々に、守護者の力なくとも魔法を扱えるようになっていき、長年の鍛錬を積むと、本という道具がなくとも魔法を扱えるようになる。(=守護者からすべてを引き継いだ状態。)
 こうして、力を託した守護者は成仏し、契約者がその力を継ぎ、契約者が死した後は次の守護者となる。
■契約者……
 守護者と契約した者のこと。(現代社会においては、ほぼ十八歳未満である。)
■守護者……
 古くは「守護霊」と呼ばれていたもの。
 死した人間の魂(とりわけ魔法や学問、そのほか様々な人間に優れている人間)が、生きている人間(とりわけ、その死者とゆかりのある人間)と契約を結び、守護者となる。
 守護者はそのままでは存在できないため、本に宿り、それを媒体に、マスターである人間は不思議な能力を扱うことができる。
■継承者……
 守護者からすべてを継承した者。本無しで魔法を行使することができる。
 卒業試験を終えたもの。とりわけ、魔法を扱う社会人を「魔法人」と呼ぶ。

守護者の宿る「本」

 守護者はそのままでは力を発揮できない。その依代として、本を必要とする。
 従って、本がなくては、学生は魔法を使えない。常に所有し、力ある言葉(詠唱)を込め、初めて魔法は事象として具現化する。
 物に宿る記憶、物質を構成する元素など、ありとあらゆる「情報」と呼ばれるものが、魔法のエネルギーの源ではないかと一説には言われている。「本」を用いて魔法を扱えるのは、本に情報が多く詰まっているからである。
 ならば、ノードパソコンなど、情報端末の方が適しているかというとそうではないらしい。これは科学という領域が、魔法という領域と相容れないからだというものもいるが、厳密には理由はよくわかっていない。
 上記のことから、契約者が扱う本は、何でも良く、持ち主が最も好む類の物が良いかもしれない。(極論を言えば、漫画でも良い。)

魔法に関して

 個人により、魔法発動のプロセスは大きく異なる。これは契約した守護者に依存する。
 魔法の仕様は肉体に負荷がかかり、使いすぎると気絶することが多いが、稀に死亡が起こる。
 肉体に何の負荷がかかっているかは未だ不明ではあるが、未熟なうちは魔法の分量を誤り、度々死に至るという不幸な事故も起こる。これらを未然に防ぐ為、国に認められた教育機関が魔法の扱える「ひとりひとりのキャパシティ」を教えるようになった。

 魔法が常識となる世界である以上、それに長けている人間が必要とされる。科学が世の中にないわけではないが、そういったものは魔法を上手く扱えない人間のために存在しているという認識が強い。
 魔法があるから文明が発展しているというわけではなく、現在は発展途上であり、魔法を扱える人間をより多くしていくことが、日本国の発展に繋がるとして今後の課題とされている。

契約と解約

■本との複数契約、強制解約の代償
 本(守護者)との契約は、磁石みたいに引き合う感じで、自然と起こることが多い。稀に環境を整えてやることで確率をあげることはできるが、偶然に左右されることの方が遥かに多い。
 複数契約は有りうる。出来る人は複数の本と引き合い契約に至るが、これは努力ではどうにもならなく、運や素質といったところが影響してくる。

■契約者と守護者と本の繋がり
 契約者が死ぬと守護者は本に宿れなくなる。(=いなくなる、と表現される。)
 厳密にいなくなるのではなく、拠り代に宿れなくなるので人の目に見えなくなるだけで、次の契約者が現れたらまた目に見えるようになる。しかし、そのときに同じ姿をしているかどうかは、まちまち。
 契約者が生きている場合に無理に解約する場合は、魔法の使い過ぎで契約者か守護者のどちらかが消えるとされている。(どちらになるかは当人と本の因果関係次第。)任意または外的要因による解約は、物理的(本の半分以上の喪失とか本が少しでも欠損すると一気に崩壊する。ただ、守護者が宿っているときの本の強度は高く、並の現代兵器での破壊は不可能といわれている。

魔法技術専門学校

 義務教育課程を終えた者が魔法を学ぶ為の施設である。通称、「魔専」などと呼ばれる。
 存在意義としては、未だ魔法について明確な究明ができていないため、契約者を一つにまとめることで魔法の管理と研究を行うという二面性を持つ。魔法という未知の要素が多くを占めるので、政府は扱いに困り、学園に魔法に関することは一任している。
 公立だけではなく、私立など民間のところもある。今回の物語では、民間の全寮制のもの。

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