序章
――『着信なし』。
――俺はただ不安だった。
――僕はただ知ってほしかった。
――オレはただ気づいていなかった。
――俺は、僕は、オレは。
――僕らはただ……
*
失うことを恐れる南。
虐められ続けた拓。
愛するものを失った雄也。
携帯電話を巡る三人の物語。
三人の主人公の物語の糸が絡み合う。
貴方にとって、大切な人とは誰ですか?
大切な人がいなくなったとき、貴方はどうしますか?
……貴方に、大切な誰かからの着信はありますか?
目次
第一章『南聡史の場合』
第二章『木村拓の場合』
第三章『中川雄也の場合』
終章『着信あり』
番外編『あの子の贈り物』